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精神の障害

知的障害

障害の状態

知的障害は知的発達の障害です。知的機能や適応機能に基づいて判断され、知能指数により分類されます。様々な中枢神経系疾患が原因である発達障害のひとつです。

知的障害の定義は、

  1.  全般的な知的機能が同年齢の子どもと比べて明らかに遅滞し
  2.  適応機能の明らかな制限が
  3.  18歳未満に生じるものとされています。

​ これの定義により、知的障害による障害年金は、初診日がいつであるかに関わらず、「20歳前の障害基礎年金」の対象として扱われます。

 知的障害は「知的機能(IQ)」の数値のみによって診断がくだされるという印象がありますが、「適応機能」という日常生活能力、社会生活能力、社会的適応性などの能力を測る指数とも合わせて診断が下されます。

 「知的機能」は知能検査によって測られ、知能指数(IQ)70以下を低下と判断します。IQ値によって、軽度・中等度・重度と分類されることもあります。重い運動障害を伴った重度知的障害を重症心身障害と表記することもあります。
 「適応機能」とは、日常生活でその人に期待される要求に対していかに効率よく適切に対処し、自立しているのかを表す機能のことです。たとえば食事の準備・対人関係・お金の管理などを含むもので、年長となって社会生活を営むために重要な要素となるものです。

  • 軽度知的障害は、おおむねIQ50~70の知的障害をさします。食事や衣服着脱、排せつなどの日常生活スキルには支障がないものの、言語の発達がゆっくりで、18歳以上でも小学生レベルの学力にとどまることが多いようです。
  • 中度知的障害は、おおむねIQ35~50の知的障害をさします。言語発達や運動能力の遅れがあり、身辺自立は部分的にはできるものの、全てをこなすことは困難な状態です。
  • 重度知的障害は、おおむねIQ20~35の知的障害をさします。言語・運動機能の発達が遅く、学習面ではひらがなの読み書き程度に留まります。情緒の発達が未熟で、身の回りのことを一人で行うことは難しいので、衣食住には保護や介助が必要になる場合もある状態です。
  • 最重度知的障害は、おおむねIQ20以下の知的障害をさします。言葉が発達することはなく、叫び声を出す程度にとどまることがほとんどです。身の回りの処理は全くできず、親を区別して認識することが難しい場合もあります。しかし、適切な訓練によって、簡単な単語を言えるようになるケースもあるようです。

障害年金の認定基準

知的障害による各等級に相当するものの一部例示です。

障害の程度              障害の状態
  1級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
  2級

知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

  3級知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断することとされています。また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断した上で認定されます。

 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断されます。

 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事しているころから、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力が判断されることになっています。

 

等級判定ガイドライン

障害認定基準に基づく障害の程度の認定については、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に定められています。

 ①「障害等級の目安」を参考としつつ、②「総合評価の際に考慮すべき要素の例」で例示する様々な要素を考慮したうえで、認定医が専門的な判断に基づき、総合的に判定することとされています。

①障害等級の目安

診断書の記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当するかの目安を示したものです。日常生活能力とは、食事、清潔保持、金銭管理、買い物、対人関係、危機対応などを指します。

②総合評価の際に考慮すべき要素の例

診断書の記載項目(「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」を除く。)を5つの分野(現在の病状又は状態像、療養状況、生活環境、就労状況、その他)に区分し、分野ごとに総合評価の際に考慮することが妥当と考えられるものです。

等級判定ガイドライン(知的障害について考慮すべき要素)の詳細

現在の病状・状態

  • 認定の対象となる複数の精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断されます。
  • ひきこもりについては、精神障害の病状の影響により、継続して日常生活に制限が生じている場合は、それが考慮されます。
  • 知能指数が考慮されます。ただし、知能指数のみに着眼することなく、日常生活の様々な場面における援助の必要度が考慮されます。
  • 不適応行動を伴う場合に、診断書の⑩「ア 現在の病状又は状態像」のⅦ知能障害等またはⅧ発達障害関連症状と合致する具体的記載があれば、それが考慮されます。

療養状況

  • 通院の状況(頻度、治療内容など)を考慮する。薬物治療を行っている場合は、その目的や内容(種類・量(記載があれば血中濃度)・期間)が考慮されます。また、服薬状況も考慮されます。通院や薬物治療が困難又は不可能である場合は、その理由や他の治療の有無及びその内容も考慮されます。
  • 著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合は、その療養状況が考慮されます。

生活環境

  • 家族等の日常生活上の援助や福祉サービスの有無が考慮されます。 独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性が検討されることとされています。
  • 入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況が考慮されます。
  • 独居の場合、その理由や独居になった時期が考慮されます。
  • 在宅での援助の状況が考慮されます。在宅で、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合は、1級または2級の可能性が検討されることとされています。
  • 施設入所の有無、入所時の状況が考慮されます。入所施設において、常時個別の援助が必要な場合は、1級の可能性が検討されることとされています。 

就労状況

  • 労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力が判断されます。
  • 援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態が考慮されます。
  • 相当程度の援助を受けて就労している場合は、それが考慮されます。就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性が検討されることとされています。就労移行支援についても同様です。障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性が検討されます。
  • 就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労の場面及び就労以外の場面の両方の状況が考慮されます。
  • 一般企業(障害者雇用制度による就労を除く)での就労の場合は、月収の状況だけでなく、就労の実態を総合的にみて判断されます。
  • 仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それが考慮されます。一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性が検討されることとされています。
  • 仕事場での意思疎通の状況が考慮されます。一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討することとされています。

その他

  • 「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬があれば、それが考慮されます。
  • 「日常生活能力の判定」の平均が低い場合であっても、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況が考慮されます。
  • 発育・養育歴、教育歴などについて、考慮されます。特別支援教育、またはそれに相当する支援の教育歴がある場合は、2級の可能性が検討することとされています。
  • 療育手帳の有無や区分が考慮されます。療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性が検討されます。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性が検討されます。
  • 中高年になってから判明し請求する知的障害については、幼少期の状況が考慮されます。療育手帳がない場合、幼少期から知的障害があることが、養護学校や特殊学級の在籍状況、通知表などから客観的に確認できる場合は、2級の可能性が検討されます。 

障害年金請求の注意点

知的障害における知的機能の障害は発達期(おおむね18歳まで)に表われるとされています。つまり、初診日がいつであるかに関わらず、「20歳前の障害基礎年金」の対象として扱われ、障害年金を申請するための初診日証明は必要ありません。

 軽度の知的障害の方の中には、普通学校を卒業し、20歳を過ぎて就職したものの、仕事が遅い、仕事の覚えが悪いなどで上司から怒られ、自分は周りとは少し違うのではないかと感じて病院に行った結果、軽度の知的障害であったと診断されることもあります。このように、20歳を過ぎて以降に知的障害の診断を受けた場合でも、他の疾病のように初診日から16ヶ月経過するのを待たなくても障害年金が申請できます。知的障害は、先天性のものとされますので、障害年金をすぐに申請することができるからです。大学を卒業し、就職をしていた方が54歳時に初めて病院に行き、知的障害と診断され、障害基礎年金2級と認定されたケースがありました。この場合、54歳時が初診日となりますが、障害年金の請求においては、20歳前傷病として請求します。

 軽度知的障害であっても、障害年金を受給されている方は多々いらっしゃいますが、年金が受給できる状態であるにもかかわらず、診断書や病歴申立書の内容が現状を的確に表わせていないために、不支給となるケースも多々あります。

 また、20歳時の障害状態が証明できるか否かによって、請求方法は大きく変わりますので、知的障害にかかる障害年金の請求手続きは慎重に進める必要があります。

        障害年金申請サポート(三重県津市) 脇 美由紀

 

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年金・社会保障など「お金」に関する内容です。障害年金についても記載してます。             

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 2018年1月 刊行      
2019年6月改定版(3刷)刊行
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