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血液・造血液疾患による障害

多発性骨髄腫

障害の状態

血液中には免疫をつかさどる白血球やリンパ球、酸素を運搬する赤血球、出血を止める働きがある血小板などの血液細胞があります。多発性骨髄腫は、これら血液細胞の1つである「形質細胞」のがんです。形質細胞はリンパ球の一種であるB細胞から分かれ、抗体をつくるように発達した細胞です。細菌やウイルスが体に入ると、B細胞の一部が形質細胞になり、形質細胞がそれぞれの細菌やウイルスと闘う抗体をつくり、感染や病気から体を守ります。形質細胞ががん化して異常細胞(骨髄腫細胞)になると、体の中で異常に増殖し、病気として発症します。その病気が多発性骨髄腫やその他の形質細胞腫瘍であり、多発性骨髄腫とは、症状があり進行性の形質細胞腫瘍のことをいいます。

 40歳未満での発症は非常にまれで、年齢が進むにつれて発症数が増加し、性別では男性にやや多い傾向があります。最近では、健診や人間ドックの血液検査で異常が発見され、精密検査で診断されることが増えています。 

 多発性骨髄腫の症状は次のとおりです。まず、増殖した骨髄腫細胞によって正常な血液細胞をつくり出す過程が妨げられます。このために、貧血や息切れ・だるさ、免疫機能の低下、出血傾向が生じます。また、骨髄腫細胞が異常免疫グロブリンを大量につくり出すことによって、免疫機能の低下、腎障害、血液循環の障害が起こります。免疫機能が低下すれば肺炎や尿路感染症などの感染症が起こりやすくなります。骨髄腫細胞によって骨の組織が破壊され、高カルシウム血症、骨の痛み、病的な骨折、脊髄圧迫による麻痺などが起こることがあります。さらに、各臓器の機能も低下するなど、さまざまな症状を引き起こします。しかし、多発性骨髄腫は無症状の場合もあり、血液検査、尿検査で異常を指摘されて発見されることも多くみられます。

 一般的には慢性の経過をたどりますが、まれに急激に進行する場合もあります。また、症状についても個人差が大きいのも特徴です。

障害年金認定基準

血液・造血器疾患による障害については、次のとおり認定されます。

障害の程度障害の状態
1級
  • 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級
  • 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級
  • 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

 血液.造血器疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び症状の経過等(薬物療法による症状の消長の他、薬物療法に伴う合併症等)、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。

 当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものとされています。

具体的な認定要領

■ 血液・造血器疾患は、臨床像から次の3つに大別されています。

ア 赤血球系・造血不全疾患(再生不良性貧血、溶結性貧血等)

イ 血栓・止血疾患(血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症等)

ウ 白血球系・造血器腫瘍疾患(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)

すなわち、ここでは、ウ についての認定要領を記載します。

1.血液・造血器疾患の主要症状

血液・造血器疾患の主要症状としては、顔面蒼白、易疲労感、動惇、息切れ、発熱、頭痛、めまい、知覚異常、紫斑、月経過多、骨痛、関節痛等の自覚症状、黄痕、心雑音、舌の異常、易感染症、出血傾向、血栓傾向、リンパ節腫脹、肝腫、脾腫等の他覚所見があります。

2.検査成績

検査成績としては、血球算定検査、血液生化学検査、免疫学的検査、鉄代謝検査、骨髄穿刺、リンパ節生検、骨髄生検、凝固系検査、染色体分析、遺伝子分析、細胞表面抗原検査、画像検査(CT検査・超音波検査など)等がある。

3.血液一般検査での検査項目及び異常値

 血液一般検査での検査項目及び異常値の一部を示すと次のとおりです。

一般状態区分表

区分 
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

 

具体的な認定要領 続き

多発性骨髄腫の場合、各等級に相当すると認められるもの一部例示

障害の程度障害の状態
 1級A表I欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表Ⅰ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
 2級A表Ⅱ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表Ⅱ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のェ又はウに該当するもの
 3級A表Ⅲ欄に掲げるうち、B表Ⅲ欄に掲げる所見があるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

A表(白血球系・造血器腫瘍疾患)

区分臨床所見
  1. 発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、出血傾向、リンパ節腫脹、易感染症、肝脾腫等の著しいもの
  2. 輸血をひんぱんに必要とするもの
  3. 治療に反応せず進行するもの
  1. 発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、出血傾向、リンパ節腫脹、易感染症、肝脾腫等のあるもの
  2. 輸血を時々必要とするもの
  3. 継続的な治療が必要なもの

  継続的ではないが治療が必要なもの

※A表に掲げる治療とは、疾病に対する治療であり、輸血などの主要な症状を軽減するための治療(対処療法)は含まない。

※A表に掲げる治療に伴う副作用による障害がある場合は、その程度に応じて、A表の区分をⅡ以上とする。

B表

区分検査所見
  1. 末梢血液中のヘモグロビン濃度が7.0g/dL未満のもの
  2. 末梢血液中の血小板数が2万/µL未満のもの
  3. 末梢血液中の正常顆粒球数が500/µL未満のもの
  4. 末梢血液中の正常リンパ球数が300/µL未満のもの
  1. 末梢血液中のヘモグロビン濃度が7.0g/dL以上9.0g/dL未満のもの
  2. 末梢血液中の血小板数が2万/µl以上5万/µL未満のもの
  3. 末梢血液中の正常顆粒球数が500/µL以上1,000/µL未満のもの
  4. 末梢血液中の正常リンパ球数が300/µL以上600/µL未満のもの

 1.末梢血液中のヘモグロビン濃度が9.0g/dL以上10.0g/dL

   未満のもの

 2.末梢血液中の血小板数が5万/µl以上10万/µL未満のもの

 3.末梢血液中の正常顆粒球数が1000/µL以上2000/µL未満のもの

 4.末梢血液中の正常リンパ球数が600/µL以上1000/µL未満のもの

・検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、血液・造血器疾患による障害の程度の判定に当たっては、最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとされています。特に輸血や補充療法により検査数値が一時的に改善する場合は、治療前の検査成績に基づいて行われます。

・血液・造血器疾患の病態は、各疾患による差異に加え、個人差も大きく現れ、病態によって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、認定に当たっては、上記A表及びB表によるほか、他の一般検査、特殊及び画像診断等の検査成績、病理組織及び細胞所見、合併症の有無とその程度、治療および病状の経過等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定するとされています。

・造血幹細胞移植を受けたものにかかる障害認定に当たっては、術後の症状、移殖片対宿主病(GVHD)の有無及びその程度、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定することとされています。

・慢性GVHDについては、日本造血器移殖学会(ガイドライン委員会)において作成された「造血細胞移植ガイドライン」における反省GVHDの臓器別スコア及び重症度分類を参考にして、認定時の具体的な日常生活状態を把握し、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に認定することとされています。

・障害年金を支給されている者が造血幹細胞移植を受けた場合は、移殖片が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とすることとされています。

障害年金請求の注意点

障害年金は、ケガによる障害だけでなく、あらゆる病気が対象となることを忘れないでください。もちろん、多発性骨髄腫も障害年金受給の対象になるということです。また、障害年金は、年金を収める方の当然の権利として受け取れるものであり、恩恵的なものではありません。なので、経済的支援を必要としていたにもかかわらず、年金を受け取れないということがないことを願います。

障害認定基準については、上記のとおりですが、B表の検査数値に該当しない場合であっても、障害年金を受給できる場合もあります。どの部分に一番支障が出ているのか、どのように、日常生活や労働に制限があるか。状況によっては、検査異常値がなくても、障害年金の対象となる可能性がありますので、自分の症状が障害年金受給に繋がるのか、一度専門家に相談されると良いと思います。

          障害年金申請サポート(三重県津市) 脇 美由紀

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