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精神の障害

多動性発達障害(ADHD)

障害の状態

発達障害(多動性発達障害)は発達障害の1つです。発達障害者支援法には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

主に先天性の脳機能障害が原因となり、乳幼児期に生じる発達の遅れです。 精神障害や知能障害を伴う場合もあります。 発達障害は、症状の特徴によりいくつかに分類されますが、いくつかの発達障害を合併することもあります。 また、知的障害や精神障害が合併していることもあります。

多動性発達障害は、別名で注意欠損・多動性障害と呼ばれることもあります。7歳までの間に注意力散漫、衝動性、多動性(落ち着きがない)といった兆候が現れます。周囲との協調性が低く、学校生活、社会活動に支障をきたしていることが多くあります。

 

障害年金の認定基準

 発達障害多動性発達障害)については、たとえ知能指数が高くても、社会行動やコミュニケーション能力の障害により、対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために、日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定が行われます。また、発達障害多動性発達障害)とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定することとされています。

 発達障害多動性発達障害)は、通常低年齢で発症する疾患ですが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とすることとされています。

 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度 障害の状態
1級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

2級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

3級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事していることが多々あります。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断することとされています。

等級判定ガイドライン

 障害認定基準に基づく障害の程度の認定については、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に定められています。

 ①「障害等級の目安」を参考としつつ、②「総合評価の際に考慮すべき要素の例」で例示する様々な要素を考慮したうえで、認定医が専門的な判断に基づき、総合的に判定することとされています。

①障害等級の目安

診断書の記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当するかの目安を示したものです。日常生活能力とは、食事、清潔保持、金銭管理、買い物、対人関係、危機対応などを指します。

②総合評価の際に考慮すべき要素の例

診断書の記載項目(「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」を除く。)を5つの分野(現在の病状又は状態像、療養状況、生活環境、就労状況、その他)に区分し、分野ごとに総合評価の際に考慮することが妥当と考えられるものです。

等級判定ガイドライン(発達障害について考慮すべき要素)の詳細

現在の病状・状態

  • 知能指数が高くても日常生活能力が低い(特に対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない)場合は、それが考慮されます。
  • 不適応行動を伴う場合に、診断書の⑩「ア現在の病状又は状態像」のⅦ知能障害等またはⅧ発達障害関連症状と合致する具体的記載があれば、それが考慮されます。
  • 臭気、光、音、気温などの感覚過敏があり、日常生活に制限が認められれば、それが考慮されます。

療養状況

  • 通院の状況(頻度、治療内容など)が考慮されます。薬物治療を行っている場合は、その目的や内容(種類・量(記載があれば血中濃度)・期間)が考慮されます。また、服薬状況も考慮されます。
  • 通院や薬物治療が困難又は不可能である場合は、その理由や他の治療の有無及びその内容が考慮されます。 
  • 著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合は、その療養状況も考慮されます。

生活環境

  • 家族等の日常生活上の援助や福祉サービスの有無が考慮されます。 独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性が検討されます。
  • 入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況が考慮されます。
  • 独居の場合、その理由や独居になった時期が考慮されます。 

就労状況

  • 労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力が判断されます。
  •  援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態が考慮されます。
  • 相当程度の援助を受けて就労している場合は、それをが考慮されます。
  •  就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。就労移行支援についても同様です。
  • 障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性が検討されます。
  • 就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労の場面及び就労以外の場面の両方の状況が考慮されます。
  • 一般企業(障害者雇用制度による就労を除く)での就労の場合は、月収の状況だけでなく、就労の実態を総合的にみて判断されます。
  • 仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それが考慮されます。
  • 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性が検討されます。
  • 執着が強く、臨機応変な対応が困難である等により常時の管理・指導が必要な場合は、それが考慮されます。
  • 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、執着が強く、臨機応変な対応が困難であることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性が検討されます。
  • 仕事場での意思疎通の状況が考慮されます。
  • 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性が検討されます。

その他

  • 「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬があれば、それを考慮する。
  • 「日常生活能力の判定」の平均が低い場合であっても、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況を考慮する。
  •  発育・養育歴、教育歴、専門機関による発達支援、発達障害自立訓練等の支援などについて、考慮する。
  • 知的障害を伴う発達障害の場合、発達障害の症状も勘案して療育手帳を考慮する。
  • 療育手帳の判定区分が中度より軽い場合は、発達障害の症状により日常生活に著しい制限が認められれば、1級または2級の可能性を検討する。
  • 知的障害を伴わない発達障害は、社会的行動や意思疎通能力の障害が顕著であれば、それを考慮する。
  • 青年期以降に判明した発達障害については、幼少期の状況、特別支援教育またはそれに相当する支援の教育歴を考慮する。

障害年金請求の注意点

発達障害多動性発達障害)の症状は、知的障害と同様に、発達期(おおむね18歳まで)に表われるとされています。しかし、発達障害多動性発達障害)は症状が出ていたとしても、初めて病院にかかった日が初診日となります。例えば、知的障害は、初診日がいつであるかに関わらず、「20歳前の障害基礎年金」の対象として扱われます。障害年金を申請するための初診日証明は必要なく、納付要件も問われません。一方、発達障害の場合は、20歳前に初診日があれば「20歳前の障害基礎年金」の対象となるものの、20歳以降に初診日がある場合は、原則の障害基礎年金か障害厚生年金の対象となります。初診日証明が必要になり、納付要件も必要です。

 発達障害多動性発達障害)の方の中には、大学を卒業し就職したものの、人間関係がうまく築けない、コミュニケーションがとれないなどの理由で、会社を退職し、自分は周りとは少し違うのではないかと感じて病院に行った結果、発達障害多動性発達障害)であったと診断されることもあります。このように、20歳を過ぎて以降に発達障害多動性発達障害)の診断を受けた場合は、初診日から16ヶ月経過するのを待って障害年金を申請することになります。ただ、知的障害を伴う発達障害と診断された場合には、知的障害の状態によっては、初診日が0歳となる場合もありますので注意が必要です。

 発達障害多動性発達障害)で障害年金を受給されている方は多々いらっしゃいますが、一方で、年金が受給できる状態であるにもかかわらず、診断書や病歴申立書の内容が現状を的確に表わせていないために、不支給となるケースも多々あります。仕事の状況や日常生活の状況を正確に主治医に伝え、現状が表現された診断書の作成が重要です。また、病歴申立書には、病気の経緯や現状が認定医に伝わるように記載し、訴えてください。

 障害認定基準では、就労について「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力が判断する」とありますが、やはり労働に従事している場合には、請求に関しての注意が必要です。周りの配慮もなく、労働できるのであれば、障害年金上の障害状態とはならないでしょう。症状があるのにもかかわらず、継続して勤務できているのであれば、そこには何らかの理由があるはずです。その点を書面で説明していくことが必要です。発達障害多動性発達障害)にかかる障害年金の請求手続きは慎重に進める必要があります。

         障害年金申請サポート(三重県津市) 脇 美由紀

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 2018年1月 刊行      
2019年6月改定版(3刷)刊行
病気やケガで働けなくなったときに使える制度について。障害年金を含め、主に「お金」に関することについて執筆しています。          

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