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肢体の障害

人工股関節での障害年金請求のポイント

目次

  • 人工股関節とは・障害の状態
  • 障害年金を請求するときの基準
  • 日常生活における動作と身体機能の関連
  • 障害が複数あるとき
  • 障害年金請求時の注意点
  • 障害認定日のポイント
  • 障害年金を受給した事例

人工股関節とは・障害の状態

人工股関節置換術は、股関節の骨や軟骨がすり減り、強い痛みや動作の制限が生じたときに、傷んだ関節を人工の関節に置き換える手術です。原因となる病気としては、変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチ、幼少期の股関節脱臼・亜脱臼の後遺症などが挙げられます。

変形性股関節症についての詳しい解説は、以下のページもあわせてご参照ください。
変形性股関節症のページはこちら

手術によって痛みが大きく軽減し、日常生活が送りやすくなる方が多い一方で、股関節の可動域には手術前と同様、もしくはそれ以上の制限が残ることもあります。しゃがむ・正座をする・深く曲げるといった動作が難しくなったり、長時間の歩行や立ち仕事で痛みや疲労が出やすくなったりします。また、片側に手術を受けた後、しばらくしてから反対側にも症状が出て、両側に人工股関節を入れることになるケースも少なくありません。


障害年金を請求するときの基準

人工股関節による機能障害は、「肢体の障害」のうち下肢の障害として認定基準に照らして判断されます。詳しい等級の基準については、以下の認定基準ページをご参照ください。

肢体の障害の認定基準はこちら

人工関節を挿入・置換した場合、その事実をもって原則として3級以上に認定される取り扱いとなっています。両足に人工関節を挿入している場合であっても、基本的には3級相当とされる扱いです。ただし、実際の可動域制限や日常生活・就労への支障の程度によっては、2級に認定されることもあります。


日常生活における動作と身体機能の関連

人工股関節を入れた後に、正座・しゃがみ込み・和式トイレの使用・靴下を履く動作など、股関節を深く曲げる動作には制限が残ることもあります。長時間の歩行や階段の昇降、バスや電車の乗り降りに支障が出て、杖や手すりが必要になる方もいます。

「手術をして人工関節に入れ替えたのだから、もう元通りに動けるはず」と思われがちですが、実際には可動域の制限や痛みが残り、日常生活の一部に介助や配慮が必要な状態が続く方が少なくありません。就労を続けている場合でも、休憩を多く取る、重い荷物を持つ作業を避けるなど、何らかの配慮のもとで働いているケースもあります。そのような場合には、2級認定を検討してみることです。

なお、人工股関節置換後に、何の支障もなく生活できていたとしても、障害年金の基準上は、3級相当の障害状態と認定されます。

また、障害認定日には、人工股関節置換を行っていない場合であっても、日常生活に制限がある状態がある状態であれば、3級に認定されることもあります。何らかの事情で手術が数カ月遅れることもあるので、そのようなときは、置換前の障害状態を確認することが大切です。


障害が複数あるとき

人工股関節だけでは基準に届かない場合でも、股関節以外の部位(膝・腰など)、あるいは関節リウマチなど別の傷病を併せてお持ちの場合は、それぞれの障害の程度を合わせて評価する「併合認定」という仕組みがあります。単独では基準に満たない場合でも、複数の障害を合わせることで、より上位の等級として認定されることがあります。


障害年金請求時の注意点

  • 初診日の特定が非常に重要です。幼少期に股関節の治療歴がある方は、その受診が「先天性」のものとみなされるか、成人後の症状を独立したものとして扱えるかによって、初診日や年金の種類が変わってきます。母子健康手帳や学生時代の状況の申立てなどが重要な資料になります。
  • 手術とリハビリのために有給休暇や欠勤を重ねてしまい、障害年金の手続きのためにさらに仕事を休むことに抵抗を感じる方が多くいらっしゃいます。診断書の取得や書類の準備、年金事務所とのやり取りなどは、委任状により社労士が代理で行うことができるため、依頼をすることにより、ご本人が平日に何度も休みを取る必要はありません。手続き自体は、ご自身で出来ますよ、と説明をしても、仕事を理由に依頼されることは多いです。
  • 「人工関節を両側に入れているのだから2級のはず」と考える方もいますが、両側それぞれが3級相当であっても、合わせて2級になるわけではありません・基本的には3級相当のままです。日常生活全体への支障が大きい場合には、2級認定されることもあるため、その障害の程度を診断書や申立書で具体的に伝えていきます。

障害認定日のポイント

人工股関節には、認定日の特例があります。初診日から1年6ヶ月が経過するより前に人工関節・人工骨頭を挿入・置換した場合は、通常の「初診日から1年6ヶ月経過した日」ではなく、挿入・置換した日が障害認定日となります。

一方で、手術が初診日から1年6ヶ月を過ぎてから行われた場合は、この特例は使えず、原則どおり初診日から1年6ヶ月経過した日が障害認定日となります。

特例に該当する場合は、認定日にさかのぼって年金を請求できる可能性があります(遡及請求)。ただし、実際にさかのぼって請求できるかどうかは、当時の症状の程度を証明できる資料が残っているかなど、個別の事情によって見極めが必要です。ご自身の初診日と手術日の間隔、当時の資料の有無を早めに確認することをおすすめします。


障害年金を受給した事例

※本事例は、プライバシー保護のため一部の設定を変更して紹介しています。

事例1:50代女性

  • 傷病名:両変形性股関節症(人工股関節置換術)
  • 状況:以前に左股関節へ人工股関節を挿入し、しばらくは症状が落ち着いていましたが、その後右股関節にも痛みが生じ、右側にも人工股関節置換術を受けることになりました。手術とリハビリで有給休暇を使い果たしており、障害年金の手続きのためにこれ以上仕事を休みたくないとのご相談でした。
  • 障害の状態:両側の人工股関節置換
  • 結果(等級):3級の障害厚生年金を受給
  • 請求方法:委任状により手続き一式をお預かりし、ご本人が就労を休むことなく、診断書の取得や申請書類の準備・提出を代行しました。

事例2:50代女性

  • 傷病名:股関節疾患(人工股関節置換術)
  • 状況:幼少期に股関節の治療を受けたことがあり、当時の状況を確認したところ「亜脱臼」であったことが判明しました。この経過を当時の記録などで客観的に証明したうえで、厚生年金加入中に生じた症状を初診日として申請を行いました。
  • 障害の状態:人工股関節置換
  • 結果(等級):3級の障害厚生年金を受給
  • 請求方法:幼少期の治療歴が「先天性の障害」とみなされると、厚生年金加入中の初診日として認められない可能性がありました。当時の状況を客観的な資料で丁寧に整理し、厚生年金加入中の初診日として認定してもらうことができました。

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